Eyefish Media Films


東西~! 東西~!



変わりゆく世の中で未来を模索するチンドン屋



                   ドキュメンタリー映画


                    製作: Kent W. Dahl



『 とざい、 と~ざい! そこをお通りのみなさまへ~! 』

チンドン屋が奏でるニューオーリンズ風ジャズやサーカス音楽、 演歌 歌謡曲などが混じるサウンドのカクテルは、かつての日本の商店街ではよく耳にした音の原風景だった。

チンドン屋の世界へ「いらっしゃい、いらっしゃい!」



十九世紀までさかのぼる日本の宣伝・広告の専門家それがチンドン 屋 商店に雇われて、通りかかる買い物客を引き付けるのが彼らの仕事。



林幸治郎さんはベテランのチンドン屋。

1984年に「ちんどん通信社」を始めて以来、大阪の商店街に深く根付いた仕事を 数多 くこなしてきた。



ところが、日本の社会環境も大きく変わり、チンドン屋の中心的な顧客であった多く の商 店は、

大型 スーパーやモール、

ネットショップの

進出で激しい状況においやられている。



そこで、林さんはチンドン屋を寄席芸人として、舞台やライブ公演を 通じ チンドン屋稼業を 盛り上げている。


林さんが若い頃苦労して先人より習得した伝統的チンドン芸 の

灯 火を絶やさぬよ う、チンドン屋パフォーマンス集団として大阪に古くから続く大衆演芸劇場で奮闘する様子を描いたド キュ メンタリー。


                 c

1話 林幸治郎がどのようにして大阪の「ちんどん屋」の世界に入ったのか。


釜ヶ崎(大阪)で初めてプロのちんどん屋として働いた時のことを回想する林幸治郎。釜ヶ崎は当時、日本最大のスラム街で、日雇い労働者やホームレス、やくざ、隣接する赤線地帯(こちらも当時は日本最大)の女性たちが占拠していた。釜ヶ崎という地域を記した正式な地図はほとんどない。平均的な日本人が危険を承知でこの地域に足を踏み入れることなどないに等しかった。


2話 林幸治郎による「ディープな」釜ヶ崎地区の回想の続き。


自分がどのようにして「ちんどん通信社(東西屋)」を興したのか、また、昔ながらのちんどん屋の顧客が徐々に減少していった背景について語る。


我々は、林の友人で大衆演劇の上演に特化したオーエス劇場(釜ヶ崎)のオーナー、岸本正人に会い、日本の大衆娯楽の権威、鵜飼正樹を紹介してもらう。ふたりは大衆演劇の華やかな世界について教えてくれた。


林と鵜飼の二人が、オーエス劇場での特別公演開催を決定した。

3


特別公演のリハーサルに入る東西屋のメンバー。我々はこの後の4話で、メンバーのリハーサル中の姿や休憩時の様子を追う。


林の長女、林風見花は、他のちんどん屋のメンバーとともに「ちんどん屋」とはどういうものか、彼らの考えを語ってくれた。


芸人から観客を魅了する方法を学んだ林が実際にジャズ・フェスティバルで観客を虜にする様子を目にすることができる。


4


どのようにして、ちんどん屋業を学んだのか、また、プロのちんどん屋であるための秘訣を明らかにする。

林の語りの合間に、オーエス劇場の特別公演の準備を進める東西屋メンバーの様子。


5


釜ヶ崎時代の最初の上司であり、師匠でもあった人物から得た経営と演技に関する指導の内容について回想する林。


大阪で昔ながらのちんどん屋の宣伝事業に従事する林の姿を追う中で、林は着物の着付けについても解説してくれた。


大衆演劇の役者だった鵜飼正樹は、林にちゃんばらの決闘シーンについて指導を続ける。その間、東西屋のメンバーは、特別公演に向けた稽古の仕上げに入る。


6


東京で昔ながらの大衆演劇劇場の舞台に立つ林と、東西屋の中心メンバーで歌手の田浦たかし。


田浦は、若い頃、流しのギター奏者から

身を起こした人物だ。古くからある大規模赤線地帯、大阪の飛田にある複数のバーで、毎晩のように演奏した時代のことを語ってくれた。


林はちゃんばらの決闘シーンの最後の稽古を受け、東西屋のメンバーは特別公演に向けてほぼ準備万端。


7


オーエス劇場に到着し、公演の準備に入る東西屋メンバー。


カーテンロールはさておき、東西屋のメンバーは楽器の演奏、歌唱、手品、演舞などバラエティーに富んだ演目を繰り広げる。


カメラは時折、上演中の舞台裏の様子も映し出す。


8


舞台で演技中の林幸治郎と東西屋のメンバーたち。演じているのは、日本の古典をもとに林と大衆娯楽の専門家、鵜飼正樹教授が書き換えた劇作品だ。


8話は、昔からの日本演劇の大ファンに向けている。


劇場内の暖房機の雑音が時折入るが、彼らの演技が面白ければ気にならないだろう。


9


劇作品の間に林風見花の踊りが入る。

シャンソン歌手のTAMAは、最近亡くなったアルメニア系フランス人歌手シャルル・アズナブールが作曲した世界的に有名なシャンソン「LaBoehem」について語る。


その間、カメラは舞台裏にいる「本当のボヘミアンたち」を写し続ける。


劇は、第10話に出てくる林幸治郎と鵜飼正人による「ちゃんばら」決闘シーンに向けてクライマックスに突入する。


10話 


舞台裏で戦闘シーンの準備をする林幸治郎と鵜飼正人。


シーンは舞台裏から、劇のクライマックスであるちゃんばらの決闘シーンへと移る。


音楽、踊り、歌唱が続き、で徐々に幕を迎える。劇場の外で、喜ぶ観客に挨拶をする東西屋のメンバーたち。


11話 


東西屋メンバーたちによる特別公演を通じて学んだ事柄について自分たちの評価やまとめ。


老人ホームの依頼を受けて、お年寄りたちの前で演じる時にも新しいスキルは存分に発揮される。

12


狂言のレパートリーを広げる林幸治郎。狂言とは、厳粛な能と能の間をつなぐ余興(喜劇)から発展した日本の古典劇の一つ。


東西屋は名古屋オズ・ストリート・フェスティバルでも狂言の楽曲と演技の技術を駆使。


最後に、林の、風見花がためらいながらも、将来、ちんどん通信社を引っ張っていきたいとの自分の思いを語る。